お布施はなぜ高いのか

ひとりごと

今回の内容はタイトルの通りです。

『お布施』というと「高い」イメージをお持ちだと思います。
イメージとしては

「高いお布施は非課税で坊さんがベンツに乗ってる」

というのはよく持たれているイメージかと思います。
ではなぜお布施は高いのか?という観点ですこし書いてみたいと思います。

私はお寺生まれお寺育ちですが、大学を出た後に少しだけ一般企業で働いていました。
他でも書いたかもしれませんが、京都の老舗の呉服問屋です。

着物も一般的なイメージでは「高い」でしょう。
しょっちゅう買うものでもないし、買えないし。
ですから関心の無い人から見たら

「何であんなもんがあんなに高いんだ」

と思われるかもしれません。
帯揚なんて一枚でウン万円するものも珍しくありません。あんなペラペラの布切れがなぜ高いのか、よく分からないでしょう。
帯締めだって興味の無い人から見たら『ただの紐』です。

でも帯締めでも帯揚げでも、ちょっと色目を変えるだけで着物全体の印象がグッと変わります。
安い着物でも上品に見せる魔法のアイテムです。

そして組紐とか、特に五嶋紐なんてものすごい技術と歴史があの一本の中に詰まっています。
だからあの値段の高さはそのアイテムそのものに対しての技術料原材料もあるのですが、その伝承された歴史に対する敬意とこれからの未来の職人さんと技術に対する投資の側面があるはずです。

翻って、他の業界に目を向けると。
どんな業界であっても業界以外の人から見たら「何であんなもんがあんなに高いんだ」ということは沢山あるでしょう。

例えば今コロナ騒ぎで飲食店さんが皆自粛をされている中、テイクアウト戦略に切り替えるお店がたくさんあります。
そのテイクアウトを買うお客さんというのはもちろん食事としてただの消費でもありますが、『お店を応援したい』という気持ちもあるかもしれません。

でもそれを「何であんなに高いんだ」という視点で切り取ると

『何でたかが焼きそばがこんなに高いんだ』
『唐揚げなんて冷凍のをウチで上げたら安いじゃないか』
『業務スーパーはこの価格の三分の一だけど』

となります。
だけど、そんなこと言わないですよね。なんか冷たい人みたいだし。飲食店さん頑張ってるし。

「坊さんのお経なんてCDかYouTubeで流せばいいじゃないか」

という方もいますが

「焼きそばなんてUFOとか一平ちゃんのほうが安くて早くてうまいじゃないか」

とか言ったらメッチャ嫌な人ですよね
そして

『コロナが落ち着いたら頑張ってパチンコ業界を助けよう』
『キャバクラやホストクラブを応援しなきゃ』

と声高らかにいう人は少ないと思います。いや、いるでしょうけどあまり大きな声では言わないのかもしれません。
それはどうしてでしょうか。ここではあえて書かないでおきます。
同じ『働く人』なのに線引きしてしまっているのは何か変だとは思いませんか。

タイトルの話に戻りますが。
お布施はなぜ高いのか、は皆さんのお仕事の業界にあてはめて考えて頂ければ、少しは理解して頂ける部分もないでしょうか。

少し話は違いますが、国宝の美術品は修復や展示に物凄いお金がかかります。
奈良の『阿修羅像』なんて移動と展示にすさまじいお金がかかったと以前TVで観ました。修復だってその辺の銅像直すのとレベルが違います。

同じようにお寺というのはその歴史と経緯があります。
先ほどは呉服の世界に譬えてみましたが、皆さんの業界やお近くでも、そういう

『いや、高いんだけど、あれはね。こうなってああやってるからそうなるんだわ』

は無いでしょうか。
私は別にお寺やお坊さんが素晴らしいと言っているのではありません。
私が素晴らしくないですから。そして現実に耳を疑うようなお坊さんもゴニョゴニョ…
それはともかく、「歴史の長さと求められる対価には比例関係がある」と思うのです。

着物・伝統工芸・美術・建築etc…

でもまぁかならずこう反論される方がいます。

「いや、坊主丸儲け。だって税金払ってないし」

そういう方に、私はかならずお伝えしている話を書いてこの記事を締めくくろうと思います。

「そんなにお寺が『オイシイ』と思うなら、空き寺や後継ぎの無いお寺紹介するよ。いくらでも人を探してるよ。お寺の出身じゃなくても全然いけるよ。今度詳しい資料送るよ」


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