浄照寺

ぶっちゃけ僧

『お坊さんバラエティ・ぶっちゃけ寺』
なるテレビ番組があります。
これはテレビ朝日で毎週月曜の深夜に放送されている番組で、色々な宗派のお坊さんが出演されます。
(詳しくは公式サイト → http://www.tv-asahi.co.jp/bucchake/)

「ぶっちゃけ寺」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
この番組は通常は深夜に放送されているのですが、先日、なんとゴールデンタイムの午後7時から3時間スペシャルで放送していました。
内容としては主に

①「お坊さんへ質問コーナー」
②「お坊さんの毎日の生活について」
③「お坊さんと行くお寺巡り」

の三つが主だったと記憶しています。
たいてい、我々浄土真宗、特に大谷派の人はなかなかこういう番組に出演しません(オファーが来ない!?)。
何故かというと…色々と理由はあるかと思うのですが、よく言われるのは「浄土真宗はわかりにくいからではないか」ということです。

わかりにくいというより、イメージしにくいのかもしれません。
つまり、浄土真宗のお坊さんは一般の方がイメージする「ザ・お坊さん」ではない要素が多いです。

だって、滝に打たれたり、坐禅を組んだり、「そもさん!」とかやらないし、髪の毛は伸ばしているし、普通に家庭持ってるし。
パッと見た目では絶対にお坊さんとわかりにくいことが多いのです。
もちろん、頭を剃っている浄土真宗のお坊さんもいるし、作務衣着て掃除したりもするのですよ。
だけど、浄土真宗の場合、多くのことが「ザ・お坊さん」のニオイを醸し出していないのです。

①のコーナーで「お坊さんの修行はやはり厳しいの?」みたいな質問というかコーナーがありました。
各宗のお坊さんは坐禅でビシッと叩かれるとか、真冬に水浴びをしますとか、一日に3000回も礼拝しますとか、「ザ・お坊さん」な回答が続出。
その中で唯一、浄土真宗だけが「修業はありません」と答えていました。

いや、無いわけじゃないのですよ。

きちんと本山(我々は京都の東本願寺)に1週間籠って毎日お勤めしたり講義を受けたり。お掃除したり座談をしたり。朝早くから夜までずーっと研修道場で過ごします。
(↑これを2年続けてやるので、計14日間の修行というか研修になります)
この研修を受けないと浄土真宗の「教師資格」という、お葬式の導師を勤めたり住職になる為の資格が取れません。

だけど食事は普通に食堂で取りますし、カレーとかオムレツとかも出ます…
特に断食もしませんし朝だって6時くらいの起床…

お寺に入ったって特に髪も剃らずに普通の家庭生活もします。

これは何故かというと、教科書的な答えをすれば

「浄土真宗の祖である親鸞聖人は自分の力で行う修業といったものは捨て、ただ阿弥陀如来に救っていただくことを願い、念佛を申すことを第一とした。だから必ずしも修業は必須ではないのである」

ね?わかりにくいでしょ?
何だか分かったような分からんような。それが一般の方の正直な感覚だと思います。

かくいう私も第一印象では「えー?お坊さん?見えないですねー」
とよく言われます。
普通に髪伸ばして、家庭もあって、普通の洋服着て保育園の送り迎えしてたら、まぁお坊さんには見えないのも仕方ないかもしれません。
だからお坊さんの衣でない普段着の時に町で人に合ってもあまり気づかれません(笑)。

じゃあ、お坊さんらしい恰好すればいいのか。
いや、お坊さんらしい格好やヘアスタイルして滝に打たれたって何も変わらないんだろうなぁ…

話を戻します。
「お坊さん…」の番組の②のコーナーではお坊さんが毎日境内の掃き掃除、本堂や廊下の雑巾がけをしていました。
また、「食事は音をたててはいけない。会話も禁止」という光景が撮影されていました。
私のお寺では少なくとも「こりゃ無理だなぁ」と思いました。
何故か?
根性が足りないのか?

まぁ後者は近からずも遠からずなのですが…

そもそも毎日の月参り数件と週末の法事。訃報のお知らせを頂けば、いつ何時でも「枕勤め」と呼ばれるお勤めをしに出発します。
その他にも年忌法事の相談に来られるご門徒さんの対応、教区や組と呼ばれる宗派内の組合のようなものの会議や仕事。
ご門徒さんへの配りものや行事の案内の作成、「浄照寺たより」というお知らせの印刷物の作成…

他にもあげればキリは無いのですが、お寺って24時間365日、何だか色々な仕事に忙殺されちゃってます。
だから「ザ・お坊さん」的な仕事はついつい合間のやっつけ仕事になってしまう、というのがホントの『ぶっちゃけ』なのです。

逆に、毎日お掃除して黙って丁寧に食事をして滝に打たれてたりしたら、↑のような日々の仕事は不可能です。
もっと言えば、家庭を持っているお坊さんの場合、子供は普通に学校に行きます。
そうすればPTAとかの役職も廻ってくることがあります。「ウチはお寺で日々の修行が欠かせないので、そういう世間のお仕事は勘弁願いたい」
が通用するでしょうか…しないですよね、多分。気まずいですよね(^_^;)
実際に聞いた話なのですが、PTAや子供会で「お祓い」の儀式に参加せざるを得なかったお寺さんが「あれは悩んだ。柏手をうつべきか合掌すべきか。」とポツリと漏らしていました。
浄土真宗的には合掌すべきなのでしょうが、あきらかに浮いちゃいますものね。だからといって役職である以上、「宗教的理由で行きません」とも言いにくいでしょうしねぇ。

そういうモヤモヤした話のほうが「ぶっちゃけ」らしくないですか?

浄土真宗は日々の生活こそが修業です。
家庭を持てば喜びと同時に多くの縛りと葛藤を生じます。
お山に籠らずに、周りの方々と肩を並べて生活し、その中で生じてくる悩みや葛藤に答えを見出していく。
つまり、「臨床医」ではなく、「町のかかりつけのお医者さん」が浄土真宗のお坊さんではないのでしょうか。

長文、失礼しました。以上、副住職の「ぶっちゃけ」をお送りしました。


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